最近あった出来事から、ふと思い出した言葉。
それは、「自分の体験したことがない事柄は、想像できない(しにくい)」ということ。
よって、他人の気持ちに寄り添うことがなかなかに難しいということです。
病気をしてみて初めてわかること
健康体の母
つい先日、実の姉が癌と診断されました。
本人はショックを受けつつ、母に電話で伝えたそうです。すると返ってきたのが
「まあ、、でもあなたは好きなように生きてきたんだから仕方ないんじゃない? もっと辛い人もいるよ」
というような言葉。
もともと母は感情のままに生きている人で、人を傷つける言葉を悪気なく言ってしまう人です。
でもただでさえ癌宣告されて打ちのめされている娘に、親がかける言葉なの…?と私も思います。
実際、姉もその言葉に怒りを隠せないようでした。それでも姉はあきらめたように、
「しょうがないよね、お母さんは病気したことないからこの辛さなんてわからない」
と私にぼやいてきました。
その通り、母は出産以外に入院・手術をしたことがなく、70歳を超えた今でもとても元気。
この歳になっても、以前より食事の量が食べられないとか、胃腸の消化力が落ちたなどをまったく感じたことがないそう。
私から見ると驚異の健康体なのですが、それゆえに病気の辛さというのがあまり分かってもらえません。
手術をしたあとの友達の言葉
10年ほど前に、卵巣のう腫の手術を受けました。
想像したよりも術後が辛くてしんどかったのですが、その数年後に、友達が同じ病気で手術、入院。
そのときに彼女が私に言った言葉が忘れられなくて。
「術後がすごくしんどくて、こんな痛いと知らなかったよ。もし知っていたら、前に雪ちゃん(私)が同じ病気をしたときにもっと優しい言葉をかけてあげればよかった…」
彼女はもともととてもいい子なのですが、これを聞いてもっと彼女のことを好きになりました。
正直にこんなこと、なかなか言えないと思うから。
ワークライフバランスの小室淑恵さんの本
で、冒頭の言葉ですが、ニュアンスが違えど前に読んだ小室淑恵さんの本に書いてあったんです。
10年ぐらい前に読んだからタイトルがちょっと若いですね。
小室さんは以前に”ワークライフバランス”という言葉を広めた方。
いろいろな経験をしているかどうかで、ものごとの感じ方やとる行動はまったく違ってきます。経験が増えれば増えるほど、他人の事情や気持ちが理解できるようになるのです。
逆に、人生における経験の少ない人、特定の経験しかしていない人が多い組織や社会というのは、違いを認めないのでストレスが高く、息苦しいものです。
…
介護になると、楽しいとは言えなくなってくるかもしれませんが、それでも大変な経験をすることがまた、他人を理解するきっかけになると思います。
いや、ほんとその通りだと思う。
私には子どもがいないけれど、姪と甥ができてから初めて、手伝いがてらベビーカーを押したり、子どもの相手をするようになりました。
そのときに初めて、ベビーカーや子連れだとこういうシチュエーションのとき困るんだなとか分かってきて、街中で困っているママを見つけたら率先して手伝うようになりました。
でもそれまでは全然気づかなくて気の利かない人だったと思う。
おわりに
いろんな経験をするためにも、積極的に自分と違う年代の人、違う国の人と関わってみる。
新しいことにチャレンジしてみる。
そんな風にいろんな経験を重ねていったら、他の人の気持ちに寄り添えて、もっと温かい世の中になるんだろうなあと思います。
私もまだまだ本当に気づかないこと、やったことがないことだらけなので日々精進ですね。
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